コラム COLUMN

知って得する!歯のコラム

良くない歯並び(不正咬合)の種類|空隙歯列編

今回は、良くない歯並び(不正咬合)シリーズの第3回として、「空隙歯列」について解説していきます。一般的には「すきっ歯」と言われる不正咬合で、厚生労働省の歯科疾患実態調査では、上顎前突(出っ歯)と同じくらいの患者数がいることが分かっています。

余談になりますが、日本では古来すきっ歯は「幸運が逃げる」と言い伝えられてきました。反対に、フランスでは「幸運が舞い込む」と言い伝えられているそうです。いずれにせよ、やはり見た目は気になるものです。笑うときに手で口を隠すなど、コンプレックスになっている人も多くいらっしゃると思います。矯正治療をお考えの方は、本コラムをぜひ参考にしてください。

※出典:厚生労働省 平成23年歯科疾患実態調査

空隙歯列とは?

空隙歯列とは、歯と歯の間に隙間が空いている状態のことを言い、なかでも、上の前歯の真ん中だけに2mmほどの隙間がある状態を「正中離開(せいちゅうりかい)」と言います。

空隙歯列の原因

空隙歯列になる主な原因は、歯のサイズと顎のサイズの不調和です。通常よりも歯が小さい(矮小歯)ために、また通常よりも顎が大きいためにスペースが余ってしまい、歯と歯の間に隙間ができてしまうのです。また、生まれつき永久歯の本数が少ない(欠損歯)ために隙間ができてしまうケースもあります。その他、先天的に上唇小帯に付着異常がある場合や埋伏歯が原因となる場合もあります。後天的には、虫歯や歯周病で奥歯を失ってしまった結果、前歯に隙間ができてしまう症例も見受けられます。

空隙歯列のリスク

第一に、やはり「見た目」の問題があります。思春期から大人になるにつれ徐々にコンプレックスを感じるようになる方が多くいらっしゃいます。次に、「発音」の問題があります。話をするときに歯の隙間から息が漏れるために、聞きとりにくい発音になってしまうことがあり、特にサ行の発音に問題が出るケースが多いようです。前歯だけでなく全体的に隙間がある場合は、食べカスが詰まりやすくなるため、結果的に虫歯・歯周病のリスクも高くなってしまいます。

空隙歯列の矯正治療

前歯部だけに隙間があるケースであれば、「ラミネートベニア」や「オールセラミック(クラウン)」という被せ物で改善できる場合があります。ラミネートベニアは歯の表面をわずかに削り、そこに薄いセラミックを接着する施術です。オールセラミッククラウンは、前歯を削ってセラミックの被せ物を装着します。いずれも、歯の着色を改善するために用いられることが多い施術ですが、前歯のすきっ歯の改善にも適しています。

全体的に隙間がある場合は、全体的な矯正治療で歯を動かして隙間をなくしていきます。ワイヤー矯正はもちろん、インビザラインなどのマウスピース矯正で矯正する方も増えてきています。歯を動かすことで改善するため、見た目だけでなく、噛み合わせの面でも理想的な歯並びにすることが可能です。

また、いくつかの治療を併用することで、スムーズに改善できる場合もあります。歯並びが気になる方は、一度相談に行って、専門医のアドバイスを受けてみてくださいね。